家裁送致前の少年の収容場所

2020-03-28

家裁送致前の少年の収容場所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事例~

埼玉県深谷市の学校に通う専門学校生のA君(18歳)は通学電車内で盗撮をしたとして、埼玉県深谷警察署の警察官に埼玉県迷惑行為防止条例違反により現行犯人逮捕されてしまいました。逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、まず息子がどんなことをして疑いをかけられているのか、どこに拘束されているかなどをきちんと確かめるため、A君との接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

~少年法上の「少年」とは~

少年法上、「少年」とは、20歳に満たない者をいい、男子であろうと女子であろうと少年法上は「少年」と呼ばれます。また、年齢を基準に判断されるため、学歴、就職の有無等も関係ありません。

~逮捕直後の収容先~

警察に逮捕されると、少年であっても

警察の留置施設(一般的に留置場と呼ばれています)

に収容されます。

留置施設は、各都道府県警察に設置される施設です。つまり、警察署内に設けられており、拘束されるとそこでの生活を強いられることになります。8畳ほどの広さの部屋(居室)が何か所か設けられ、共同で生活しなければなりません。もちろん、プライベートなど考えられていません。留置施設には少年のほか、20歳以上の成人も収容されていますが、少年法では少年と成人とを分離して収容しなければならないとされています。少年に対して悪影響が及ぶことを避けるためでしょう。

~逮捕後の収容先~

少年の場合、逮捕後は、検察官に①勾留請求された場合と、②勾留に代わる観護措置請求された場合とで収容される場所が異なります(なお、請求後、決定までに釈放されることもありますが、ここでは釈放されなかったことを前提に話を進めていきます)。

①検察官に勾留請求され、それが裁判官によって許可されると、通常、少年は逮捕直後に収容された「留置施設」に収容されることになります。なお、稀に検察官が勾留請求しても、裁判官の判断によって「少年鑑別所」に収容されることがあります(勾留に代わる観護措置決定)。

②検察官に勾留に代わる観護措置請求(※)され、それが裁判官によって許可されれば、収容先は「留置施設」から「少年鑑別所」へ変更となります(移送されます)。

なお、少年鑑別所は、少年の身柄を確保しつつ心身の鑑別を行う施設で、家裁送致後は、「鑑別」、すなわち、医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知見から、非行等に影響を及ぼした資質上及び環境上問題となる事情を明らかにするための法務技官による面接や各種心理検査などを受けることが予定されています。したがって、観護措置が必要か否かも、主に、収容鑑別を実施する必要があるか否かという観点から判断されることになります。

※勾留に代わる観護措置とは?
検察官は,少年の被疑事件において,やむを得ない場合でなければ,裁判官に対して勾留を請求することができません(少年法4条3項)。少年事件において,勾留はあくまで例外的措置となっています。やむを得ない場合はないが,引き続き少年の身柄を拘束する必要がある場合は,少年の身柄を少年鑑別所に収容することができます。これを,勾留に代わる観護措置(少年法43条1項等)といいます(ただし,実務上は,勾留に代わる観護措置がなされることはあまりありません)。なお,やむを得ない場合とは,事件が重大・複雑で捜査に相当日数を必要とする場合,捜査担当の警察署から少年鑑別所までの距離が離れており,少年に対する取調べ等に支障をきたすことなどが挙げられます。勾留に代わる観護措置の期間は検察官が請求をしてから10日間で,期間の延長は認められていません(少年法44条3項)。

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