少年と放火
少年と放火について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
少年Aさんは、父親と喧嘩をしたことに対する腹いせに自宅に火をつけ全焼させてしまいました。Aさんは現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~現住建造物等放火罪とは?~
放火により、現に人がいる建造物等を焼損した場合には、現住建造物等放火罪が成立します。
放火罪は、何に火をつけたかによって成立する罪が異なり、建造物か建造物以外の物なのか、建造物であれば人が現に存在する建造物なのかそうでないのか、自己が所有する物なのか他人が所有する物なのかという点で違いが生じます。
このうち、人が住居に使用したり、あるいは現に人がいたりする建造物に放火した場合には現住建造物等放火罪の適用が考えられるということになります。
「人が住居に使用したり、あるいは現に人がいたりする建造物」における「人」とは、放火をする犯人以外の人をいいます。
つまり、放火をする人が1人で住んでいる建物に放火したとしても現住建造物等放火罪は成立せず、自己所有非現住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)の成立が考えられるにとどまります。
上の事案のAさんは、一人で住んでいる部屋に火をつけて全焼させていますので、現住建造物等放火罪ではなく自己所有非現住建造物等放火罪が成立するようにも思えます。
しかしながら、アパートやマンションなどの集合住宅においては、部屋一つ一つを独立の「建築物」として捉えるのではなく集合住宅全体を一つの建物として捉えられるのが一般的です。
したがって、集合住宅の一室に火をつけて自室のみを全焼させたというAさんについては、現住建造物等放火罪の成立が考えられるという場合が多いです。
「放火」とは、目的物が燃焼することを引き起こす行為を行うことを言います。
「放火」行為には、ライターやマッチなどを用いて直接点火することだけでなく、導火線などの媒介物を介して目的物に点火する場合も含みます。
また、自ら点火をするという行為だけでなく、自らの行為によらずに発生した火を消し止める法律上の義務を負う者が、簡単に消化できる状況にあったにもかかわらず消化行為をしなかったという不作為の行為による場合にも「放火」に当たります。
「焼損」の意義については学説上争いがありますが、一般的には目的物が独立して燃焼を継続しうる状態に達することをいうと考えられています。
そのため、例えば、家屋に放火したものの、全焼には至らず、「床板約一尺四方、押入床板及び上段各約三尺四方」を燃焼させたという場合であっても「焼損」に当たることになります。
~少年は逆送される~
Aさんは少年ですから、検察に送られた事件がいったん家庭裁判所へと送致されます。その後、家庭裁判所での少年審判で少年院送致、保護観察などの保護処分を受けるのが通常ですが、放火のような重大事件を起こしてしまうと家庭裁判所からさらに検察に事件を逆送されてしまいます。逆送とは、家庭裁判所の調査の過程、あるいは少年審判で本人が20歳以上であることが判明したとき(少年法19条2項、23条3項)、又は、家庭裁判所の審判において、刑事処分が相当であると判断されたとき(少年法20条1項)、あるいは、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(※)であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上だったとき(少年法20条2項)に、事件を家庭裁判所から検察官に送致される手続のことをいいます。手続的には、検察官から家庭裁判所へ送られた事件が、再度、家庭裁判所から検察官の元へ送られるわけですから「逆」送と呼ばれています。逆送されれば、成人と同様の刑事手続に移行します。正式起訴されれば、成人同様、正式裁判を受けなければなりませんし、裁判で有罪となり裁判が確定すれば刑に服さなければなりません。前科も付きます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。