(事例解説②)大学生と高校生の交際は青少年健全育成条例違反?

2024-04-10

(事例解説②)大学生と高校生の交際は青少年健全育成条例違反?

大学生 未成年 犯罪

前回に引き続き、大学生と高校生の交際は犯罪に該当するのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

前回の記事をご覧ください。

(事例解説①)大学生と高校生の交際は犯罪になる?

・青少年健全育成条例違反とは

今回は,青少年健全育成条例違反について考えてみます。(不同意性交等罪については前回記事をご覧ください)

青少年健全条例違反は,おおよそ各都道府県に同様の規定があり,東京都の場合には次のような定めになっています。

・青少年に対する反倫理的な性交等の禁止
第十八条の六
何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。
・罰則
第二十四条の三
第十八条の六の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

「青少年」とは18歳未満の人のことを指しています。
Aさんの事例でも,Bさんは「青少年」に該当しますから,AさんとBさんの性行為は東京都の青少年健全育成条例に違反する可能性があります。

もし仮にAさんも「青少年(=18歳未満)」であれば,青少年同士の行為として条例違反にならないのですが,Aさんは19歳であり,少年法上は「少年」として扱われますが,青少年健全育成条例においては「青少年」として扱われません

19歳と15歳との性行為は青少年健全育成条例違反事件として扱われることになるのです。

・Aに問われる可能性がある罪は?

さて,Aさんの立場としては,青少年健全育成条例の限度で犯罪になる」という主張になりますが,Bさんの両親としては不同意性交だ/青少年健全育成条例違反でも厳重に処罰されるのだ」と,感情的な面も含めて対立が深まることが予測されます。

Bさんの両親から「犯罪だ」と言われたAさんの立場として,自分たちで何とかしようとするのは,えてして良い結果を生まないものです。

たとえ「被害届を出す」等の具体的なことを言われていない段階であっても,早期のうちに弁護士に対応を依頼して事態の収束を図っていくのが賢明です。

・19歳の事件は少年事件/刑事事件?

Aさんは19歳ですから,青少年健全育成条例の「青少年」に該当せず,大人として扱われることになります。
しかし,少年法では「20歳未満」が少年として扱われますから,Aさんの事案が警察に対して被害届が出された場合には少年事件になります。

少年事件については,大人の刑事事件と同様に警察が捜査を行い,警察・検察による取調べが終わると,事件が家庭裁判所に送られることになります。

家庭裁判所では,少年に対する調査(少年法8条1項)が行われます。
調査では,「どのような事件を起こしたのか」に加えて,「どうして事件を起こしたのか/どうすれば事件が起こらなかったのか(本人の資質や思考の癖などを心理テストや面接をして見極める)/事件化してることについてどのように振り返っているのか」等という点まで,幅広く調査をすることになります。

この調査を踏まえて,家庭裁判所での審判(少年審判)が開かれます。
少年審判では「少年が何をしたのか」に加えて,「少年に対してどのような処分を科すことが適切か」という2つの点について裁判所の判断が下されます。

わいせつ行為や青少年健全育成条例違反のような性関連犯罪に対する少年審判では,ただお説教だけをして終わりということはあまりなく,保護観察少年院送致といった,何らかの処分が下されることが多くあります。

性にまつわる問題行動というのは,法律や社会常識に対する考え方だけでなく,本人の思考や育成環境に根深い問題があるとみられやすいからです。

不同意性交等青少年健全育成条例違反として少年事件を起こしてしまった,事件への関与を疑われている,という方やそのご家族は,刑事事件・少年事件の両方に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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