審判不開始と不処分の違い

2020-03-18

 少年事件における審判不開始と不処分の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~

大阪府豊中市に住むA君(16歳)は、試験勉強や部活の成績が不調であること等でストレスが溜まっていました。そして、ある日、コンビニ寄った際、誰にも見つからないだろうと思って本棚にあった漫画本1冊を手に取り、お金を支払わず店外へ出ました。そうしたところ、Aさんはコンビニ店長に呼び止められました。Aさんは店内の事務室に連れていかれ、駆け付けた大阪府豊中警察署の警察官に窃盗罪で事情を聴かれることになりました。捜査の結果、Aさんはこの件以外にも他のコンビニ等で漫画本を万引きしていたことが判明しました。その後、Aさんの事件は、家庭裁判所送致されてしまいました。Aさんの両親は少年事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~はじめに~

少年(20歳に満たない者)が犯したいわゆる少年事件は、警察、検察での捜査が終わると家庭裁判所送致されます(送られます)。
逮捕、勾留され身柄を拘束されている場合(身柄事件の場合)は、通常、少年鑑別所に収容され、担当技官による面接や心理検査などを受けます。また、同時に家庭裁判所調査官の調査も受けます。
身柄を拘束されていない場合(在宅事件の場合)は、収容されないまま家庭裁判所調査官の調査を受けます。ただ、稀に少年鑑別所に収容されることもあります。
いずれの場合も、調査結果は家庭裁判所に報告されます。

少年事件が家庭裁判所に送致されたからといって、少年審判が必ず開かれるとは限りません(審判不開始決定)。また、仮に開かれたとしても保護処分(保護観察、少年院送致等)が下されない場合もあります(不処分決定)。審判不開始不処分との違いをご説明します。

~審判不開始決定~

審判不開始決定とは、少年鑑別所や家庭裁判所調査官による調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときに、少年審判を開始しない旨の決定をいいます。

「審判に付することができず」とは、非行事実の存在の蓋然性がない場合や少年の所在が不明であり、審判することができない場合などが当たります。「非行事実の存在の蓋然性がない場合」とは、少年の行為が非行の構成要件に該当しない場合や証拠上非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合、すなわち、成人でいえば「嫌疑なし」の場合をいいます。この場合は、少年自身を少年事件の手続から解放する必要がありますし、少年に適切な処分を下すことができないからです。
「審判に付するのが相当ではない場合」とは、事案が軽微であったり、家庭裁判所送致された段階では少年が十分に反省しており要保護性(矯正施設による保護の必要性)がなくなったりしている場合をいいます。少年審判の一番の目的は「少年の更生」にありますから、審判開始前に少年が更生していると認められる場合は少年審判を開くことは不要であるからです。

審判不開始決定が出ると少年審判は開かれません。少年審判が開かれないということは保護処分を受けることはありません。

~不処分決定~

不処分(決定)とは、家庭裁判所における少年審判の結果、保護処分に付することができないとき、又は保護処分に付するまでの必要がないと認めるときに、保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。

「保護処分に付することができないとき」とは、非行事実の存在が認められない場合などが当たります。「非行事実の存在が認められない場合」とは、少年の非行事実の存在について、合理的疑いを超える心証が得られない場合をいいます。成人でいえば「無罪判決」に相当します。

「保護処分に付するまでの必要がないとき」とは、審判までに少年が更生し、要保護性がなくなった場合や試験観察期間中の少年の生活態度からさらに保護処分を行う必要がなくなった場合などが当たります。調査や審判の過程で、調査官などによる教育的な働きかけによって、少年の問題点が改善され、要保護性がなくなった場合をいいます。

不処分決定を受けると、保護処分を受けることはありません。

~審判不開始決定、不処分決定を受けるための弁護活動~

付添人(弁護人)としては、調査の過程で、少年に対して教育的な働きかけを行っていき、少年の事件に対する反省を深めさせたり、生活環境を整えていったりしていきます。そして、その結果を、家庭裁判所調査官に書面などで報告します。家庭裁判所調査官は、その報告書や自ら調査した結果などをもとに、家庭裁判所に対し、処分に関する意見を上申することができます。

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