歩道橋から自動車にコンクリートブロックを投下し、殺人未遂

2020-05-15

今回は、14歳の少年が歩道橋から自動車に向けてコンクリートブロックを投下し、逮捕されてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

千葉県勝浦市に住むAくんは14歳の中学2年生です。
家庭環境はさほど悪くありませんが、Aくんはあまり親の言うことを聞こうとせず、通学を怠り、連日にわたって友人宅に入り浸ることが度々あります。
ある日、Aくんと友人たちは、コンクリートブロックを歩道橋から自動車に落とすイタズラを思いつきました。
早速、友人宅からコンクリートブロックを持ち出して歩道橋に上り、Aくんはこれを自動車に向けて投下しました。
ところが、コンクリートブロックはフロントガラスを破って車内に勢いよく進入し、驚いた運転手はハンドル操作を誤り、ガードレールに衝突してしまいました。
運転手はかなりの重傷を負っている模様です。
Aくんらはかけつけた千葉県勝浦警察署の警察官により、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~Aくんには何罪が成立するか?~

殺人未遂罪、または、傷害罪が成立することになるでしょう。
道路交通法違反の罪(道路における禁止行為)にも問われる可能性があります。
Aくんらの行為は、ただのイタズラでは済まなさそうです。

(殺人未遂罪を解説)
殺人の実行に着手し、これを遂げなかった場合に殺人未遂罪が成立します。
一般的に、殺人の実行の着手時期は、「行為者が殺意をもって他人の生命に対する現実的危険のある行為を開始したとき」と説明されることが多いようです。

ケースの場合はどうでしょうか。
走行している自動車に向けて、ある程度の高さから、質量のあるコンクリートブロックを投下する行為には、フロントガラスを破って運転手に当たるなどした結果、他人の生命を害する現実的危険性があると認められるものと思われます。

実行の着手時期は、Aくんらが自動車に向けてコンクリートブロックを歩道橋から投下したあたりにおいて認められるのではないでしょうか。
殺意を持って上記行為を行えば、被害者の死亡結果が生じなくても、殺人未遂罪が成立することになります。

殺意の有無も問題になります。
Aくんらが他人の死亡を意欲していなかったとしても、「コンクリートブロックを投下することにより、他人が死亡することはありうるだろう」と思って投下したのであれば、殺意は認定される可能性があると思われます(未必の故意)。

(傷害罪の成否)
殺意が立証できない場合は、傷害罪の非行事実に切り替えられると思われます。
コンクリートブロックを投下したからといって他人に当たって死亡するとは限らないことから、他人が死亡することなど考えようがなく「殺人未遂事件ではなく、傷害事件に留まる」と主張することも、弁護活動の選択肢の一つです。
殺意を否定する場合は、作成される調書の記載内容などに注意する必要があります。

(道路交通法違反の罪)
「道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」は、道路交通法第76条4項4号により禁止されています。
成人であれば第120条1項9号により、5万円以下の罰金に処される罪です。
前述の通り、殺人罪あるいは傷害罪の非行事実に加えて、道路交通法違反の罪の非行事実も加えられる可能性があります。

~今後の手続~

逮捕・勾留されうるという点では、成人と同じです。
逮捕後、1~2日程度で検察官に身柄が送致され、そののち、裁判官により勾留決定がなされることになるでしょう。

検察官は、捜査を行った後、家庭裁判所にAくんを送致します。
事件の重大性を考慮すると、「観護措置決定」がなされ、鑑別所においてAくんの心身や家庭環境が調査されることになると思われます。

~事件はどのように終了するか~

事件の重大性に照らすと、家庭裁判所から再び検察官のもとへ事件が送致される可能性もあります(「逆送」といいます)。
この場合は成人と同じく刑事裁判にかけられることになる可能性が高いです。

Aくんの更生を重視するならば、家庭裁判所の審判を経て、保護処分を受けることが最善と思われます。

保護処分の中では負担の重い「少年院送致」が言い渡される可能性が十分ありえますが、Aくんの更生を重視した施設である以上、成人と同じく刑罰を受けるよりは事態として良いということができると思います。

なるべく有利な事件解決を目指すために、なるべく早期に弁護士を依頼することをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が殺人未遂事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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