少年鑑別所は何をするところ?

2021-04-01

今回は、少年事件の手続における少年鑑別所の役割について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
A君(15歳)は、無免許でバイクを運転し、人身事故を起こした非行事実により逮捕・勾留され、家庭裁判所に送致されました。
送致後は、少年鑑別所に収容され、観護措置を受けています。
Aくんはこれからどうなってしまうのでしょうか。(フィクションです)

~A君に成立する罪は?~
(無免許過失運転致死傷罪)
バイクを無免許で運転する行為も、バイクを運転中に人身事故を起こした点についても、それ自体犯罪を構成しうる行為ですが(無免許運転の罪及び過失運転致死傷罪)、過失運転致死傷罪を犯した際に無免許運転であった場合は、「無免許過失運転致死傷罪」という特別な犯罪の成否が検討されます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条4項)。

無免許過失運転致死傷罪の法定刑は10年以下の懲役となっています。

~少年事件の手続~
もっとも、A君は15歳の少年なので、少年事件として手続が進行します。
そのため、原則としてAくんが10年以下の懲役を言い渡され、刑務所において服役することはありません。
そのかわり、家庭裁判所において、必要に応じ、A君に保護処分が言い渡されることになるでしょう。

~少年鑑別所とは?~
A君が収容されているのは留置場でも拘置所でもなく、「少年鑑別所」という施設です。
少年鑑別所とはどのような施設なのでしょうか。

少年鑑別所とは、医学や心理学、教育学などの専門的知識に基づき、少年の資質の鑑別を行う施設です。
A君は後に家庭裁判所において審判を受けることになると思われますが、少年鑑別所において収集されたA君に関する情報は、審判の際に活用されます。

また、少年を勾留する場所となる場合もあります(少年法第48条2項)。

(観護措置とは?)
在宅で非行少年の資質が調査される場合もありますが、A君は少年鑑別所に収容された上で資質の鑑別を受けています。
家庭裁判所が調査、審判を行うために少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことを一般に「観護措置」といいます(少年法第17条1項2号)。
観護措置を行う場合に少年を収容する場所が少年鑑別所となっています。

(観護措置の期間)
期間は、法律上、2週間を超えることができず、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新することができます(少年法第17条3項・4項本文)。
多くの場合、更新がなされるので、ほとんどの事件において4週間、少年鑑別所に収容されることになります。
さらに、重大事件で証人尋問や鑑定などを行うような少年法第17条4項但書の要件を満たす場合には、「特別更新」が可能となり、この場合は、最長8週間収容されることになります。

~少年審判について~
家庭裁判所において審判が開始されると、必要に応じてAくんに保護処分が言い渡されます。
保護処分には①保護観察処分、②児童自立支援施設又は児童養護施設送致、③少年院送致があります(少年法第24条1項各号)。

非行事実が軽微な場合や、少年事件手続上の関係者による働きかけによって再非行の危険性がなくなったと判断されると、「不処分」決定が言い渡される場合もあります。

~審判の結果はどうなるか?~
A君は無免許運転での人身事故という重大な違反を起こしており、不処分決定の獲得はかなり困難ではないでしょうか。
最終的に、保護観察処分か、少年院送致を言い渡されて事件が終了するのではないかと思われます。

A君がケースのような非行に再び手を染めないであろうということが認められ、在宅での更生が適当であり、そのための環境(両親をはじめとする監護態勢)も整っていると裁判官が判断すれば、保護観察処分を獲得できる可能性が高まります。
そのためには、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスが大いに役立ちます。
まずは少年事件に熟練した弁護士を探して相談し、事件解決を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が無免許過失運転致死傷の非行事実により逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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