少年の脅迫事件

2021-04-22

今回は、少年の脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

兵庫県に住む高校生(16歳)のAくんは、友人Vに含むところがあり、VのSNSのコメント欄に「調子に乗るなよ。家に火をつけようか。熱いだろうな」などと書きこんでしまいました。
Vくんは恐怖し、親に相談したところ、親が警察に被害届を提出しました。すると、ある日、Aくんは脅迫罪で逮捕されてしまいました。Aくんと接見した弁護士は、脅迫罪に当たる可能性があることを指摘したうえで、不処分を目指すことを提案しました。
(フィクションです)

~Aくんには何罪が成立するか?~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

脅迫罪の「人」とは、脅迫罪が個人の意思の自由を保護する罪である以上、その自由を享受し得る自然人を意味し、会社である法人は含まれないと解されています。
もっとも、法人の財産等に対する害悪の告知が、間接的に自然人に対する害悪の告知と解される場合も十分にあり得るところで、その場合は、やはり脅迫罪に問われる可能性があるといえます。

害を加える旨の告知(害悪の告知)とは、一般に人を畏怖させるに足りることを伝えることです。

生命に対する害悪の告知・・・「別れるくらいなら、あなた(あるいは親族)を殺す。」
身体に対する害悪の告知・・・「五体不満足にしてやる。」
自由に対する害悪の告知・・・「この街を安全に歩けると思うなよ。」
名誉に対する害悪の告知・・・●●をネットに掲載する、SNSで拡散する
財産に対する害悪の告知・・・「あなた(あるいは親族)の家に火をつけてやる。」 など

害悪の告知の方法に制限はありません。
加害者に直接会って言った場合はもちろん、電話、メール、FAXを使って伝えた場合などでも脅迫罪が成立する可能性があります。

~少年審判~

家庭裁判所での調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定がなされます。
少年審判では、必要に応じて、①保護観察処分、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致といった、保護処分が言い渡されます。
これに対し、いずれの保護処分にも付する必要がないと認められれば、何らの処分も行わない不処分決定がなされます。

少年審判が開始された場合において、Aくんにもっとも負担がかからないのは、不処分決定を獲得することです。
不処分決定を獲得するためには、審判開始決定がなされる前から、Aくんに真摯な内省を促し、家庭環境を調整するなどして、Aくんの監護態勢を整えておく必要があります。
どのようにすれば説得的な環境調整ができるのか、という点については、少年事件を専門とする弁護士の助言が大いに役立つでしょう。
お子様がケースのような事件を起こしてしまった場合には、なるべく早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が脅迫事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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