少年による暴行事件の簡易送致

2019-12-26

少年による暴行事件の簡易送致

少年の暴行事件簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

神奈川県横須賀市の中学校に通うA君(15歳)は、高校受験のストレスなどから担任の教師Vの顔を殴る蹴るなどの暴行を加えました。V教師は学校と相談の上、神奈川県横須賀警察署に被害届を提出しました。そこで、A君は暴行罪の被疑者として捜査を受けることにしました。A君は、Vに暴行を加えたことを全面的に認め、Vに謝罪した旨を申し出ています。そこで、A君とA君の両親は、少年事件に詳しい弁護士に今後の対応を相談しに行き、弁護活動を依頼しました。依頼を受けた弁護士は、さっそくVに謝罪と示談交渉したい旨の連絡を入れ、A君が書いた謝罪文を持って示談交渉に臨みました。そして、弁護士はVとの間で示談を成立させ、その結果を警察に連絡しました。そうしたところ、弁護士は警察から検察庁に簡易送致する旨の回答を得ました。
(フィクションです。)

~ 暴行罪 ~

暴行罪とはどんな罪なのでしょうか??
暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど人の身体に直接触れる行為が暴行の典型ですが、それに限らず、

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪をはさみなどで切断する行為
・教室内で金属棒を振り回す行為

なども暴行に当たるおそれがあります。

暴行罪には「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という刑罰にが規定されています。
しかし、少年(20歳未満の者)が暴行罪を犯したからといって、直ちにこれらの刑罰を科されるわけではありません。

成人の場合は、捜査(逮捕、取調べなど)→起訴→裁判→有罪→刑罰という流れをたどります。
他方、少年の場合は、捜査→家庭裁判所送致→少年審判→保護処分少年院送致保護観察など)という流れをとどることが一般的です。
また、少年審判は必ず開かれるものではありません。家庭裁判所送致後の調査で、少年審判に付することができず、又は少年審判に付するのが相当でないと認められる場合は少年審判は開かれません。

~ 家庭裁判所へ送致されるルートは2つ ~

以下は、少年事件の捜査→家庭裁判所送致までの流れをご説明します。

捜査機関は少年事件について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料されるときは、すべての少年事件を家庭裁判所へ送致しなければなりません。
これを全件送致主義といいます。

事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致されるルートは2つあります。
一つは、警察から直接、家庭裁判所へ送致されるルートです。直送事件とも呼ばれています。ただし、このルートで送致される事件は、過失傷害罪(30万円以下の罰金)、軽犯罪法違反(拘留、又は科料)など法定刑が「罰金以下の刑に当たる罪」に限られます。
もう一つは、警察から検察庁を経て家庭裁判所へ送致されるルートです。法定刑に罰金刑が規定されていても、選択刑として懲役刑が規定されていると、その罪に関する事件はこのルートで送致されることになります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですから、後者のルートで送致されることになります。

~ 少年事件の簡易送致制度 ~

しかし、事案が軽微で少年の保護の必要のない事件についてまで一律に同じ手続きで家庭裁判所に送致させることは、少年にとっても負担ですし、保護善導する上でも効果的とはいえません。また、多くの事件を取り扱う捜査機関の負担にもなりかねません。
そこで、一定の基準を満たす少年事件については、簡易送致制度に基づき簡易送致手続が行われています。
これは、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書という書類を作成し、直送事件の場合は直接家庭裁判所へ、直送事件でない場合は検察官へ送致する手続きです。

いかなる場合に簡易送致とするかは犯罪捜査規範第214条に規定されています。

犯罪捜査規範214条

1 捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(略)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。
2 前項の規定による処理をするに当たつては、第二百条(微罪処分の際の処置)に規定するところに準じて行うものとする。

これからすると、簡易送致の対象は

・事実が極めて軽微であること
・犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがないこと
・刑事処分、保護処分を必要としないと明らかに認められること
・検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された事件であること

の条件を満たす必要がありそうです。

~ 簡易送致のメリットは?簡易送致を目指すには? ~

簡易送致された場合は、検察庁から呼び出しを受けて取調べを受ける可能性は低いでしょう。また、家庭裁判所で少年審判を受ける可能性も低いと思われます。
簡易送致するか否かは警察が決めますから、簡易送致を目指すには、警察が事件を検察庁に送致する前に、被害者に被害弁償し示談を成立させた上でその結果を警察に提出する必要があります。また、少年を取り巻く環境を整え、更生可能性、再犯のおそれがないこともしっかりアピールする必要があるでしょう。

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